2021年5月4日
『獄門島』は横溝正史が書いた探偵小説ですが、1977年に市川昆監督、石坂浩二主演で映画化されました。
瀬戸内海の小島で起こる三人の娘の猟奇的な殺人事件の謎を石坂浩二が追うサスペンスです。
物語の中盤で草笛光子が演じる地方の旅芸人が登場します。鏡の前で化粧するシーンがありますが、本番に先立ち草笛さんは市川監督にこんなお願いを出したそうです。
草笛 「先生、金歯入れていいかしら?」
市川監督 「何で金歯だ?」
草笛 「ゆうべ、どういう役にしようかなって考えたら、疎開先で見たドサ回りの一座を思い出して・・・」
監督の許可を得たあと、草笛さんは急いで歯医者に行き、右の前歯に金歯を2本かぶせました。舞台の獄門島は昭和21年の設定なので
この金歯で当時の世情がリアルに表現できたそうです。草笛さんは市川監督のこうした俳優のアイデアも汲んで作品を仕上げる姿勢を、素晴らしいと評価しています。
小学4年のとき秋田県民会館で市川監督の映画「東京オリンピック」を見ました。入場行進の音楽とスローモーションの100メートル走、円谷幸吉選手の苦しみに耐えて走り続ける姿が印象に残りました。