2021年4月4日
奥歯がなくてもかめればいい、という患者さんが時々います。はたしてそうでしょうか。
奥歯には二つの役割があります。一つは食物をかみつぶし、消化しやすくすること。もう一つのおおきな役割は、かみ合せを安定させることです。
いつもの生活でもかみしめは知らず知らずのうちに生じます。たとえばキッチンで野菜を切るなどの細かい仕事や、車の運転など軽い緊張感を伴うと上下の歯を強く接触させてしまいます。スマートフォンの操作やパソコン作業でもかみしめる傾向があります。
さらにスポーツや筋トレに励むときも瞬間的に強くかみしめることがあります。そのかむ力は体重以上になることがあると言われれます。ゴルフをたしなむ方が新しく装着した歯にヒビが入ったことがありました。静的な動きでもキュッと歯をかみしめると、想像以上の力で歯に負担をかけていたのです。
奥歯によるかみあわせの安定をはかることは、前歯の安定につながり、残された歯の寿命を長く保つことになります。