2020年6月29日
時々唾液が出すぎて困るという患者さんが来ます。ある高齢の女性は「唾液が出すぎるのでしょっちゅう飲み込んでるのよ。お医者さんにそのことを言うと、唾液が少ない人のほうが多いんだから、いいじゃないですか」と全然同情されないと嘆いていました。
少したって、似たような男性の患者さんが来ました。「入れ歯が当たって上顎が痛い。それと唾液が多くて困る」と訴えました。上顎の入れ歯を調整したところ、「痛くない。つばが出なくなった」ときょとんとした表情で言いました。私は半信半疑だったのですが、患者さんがいうのですから、信じるほかありません。患者さんは唾液が多く出なくなったので機嫌よく帰られました。
最初の女性が最近になってまた来院したので、痛いなどの症状がなかったにも関わらず、上の入れ歯が歯ぐきを少し圧迫しているところを調整しました。唾液の流れる量が減ったかどうか、結果はまだ出ていません。
入れ歯を調整した女性と男性の患者さんの共通するのは、上の入れ歯が「総入れ歯」だということです。上顎の入れ歯が唾液腺の流れる「スイッチ」をおしているのかもしれません。